教諭歴16年目の現役の幼稚園教諭として、これまで3000人以上の子ども達に鉄棒や跳び箱、マット運動などの体操、運動指導をしてきました!
今回は台上前転のお家での練習方法とコツをご紹介します!
台上前転とは跳び箱のような高い所で前転をする技です!
〝台〟の〝上〟で〝前転〟をするから、台上前転と言うんですね!
難しそうに見えますが、動きのポイントとコツを知れば、お家にある物を使って練習出来ます!
台上前転での身体の動きは?!
まずは台上前転をする時の身体の動かし方、メカニズムを理解しましょう!
1、台を横から持つ
↓
2、ジャンプをしてお尻を高く上げる
↓
3、頭を素早く丸めて、後頭部をついて回る
↓
4、足の裏で着地する
前転が出来ていることが前提
台上前転は前転の派生、進化技です!
まずは床での前転が出来るようになりましょう!
前転が出来てないと、台上前転が出来るようになりません…。
各動作のポイント
台上前転をする為の動作のポイントは大きく以下の6つになります。
①おしりを高く上げる
台上前転は高さのある台の上で前転をするので、回る時はジャンプをしてお尻を上げる必要があります!
そうしないと床でやる通常の前転と同様、後頭部をついて回れません…。
②後頭部をつけて回る
回る時は後頭部をつけて下さい!
これも普通の前転と同じです!
ただ高い位置での前転なので、ジャンプをしてお尻を上げた瞬間におへそを見るイメージで後頭部をつけて下さい!
きちんと後頭部をつけないと、まっすぐ回れず横に落ちてしまいます…。
このジャンプ→後頭部をつけるという動作の順番を間違えないようにして下さい!
よくある失敗でおでこを台につけてから、ジャンプをしてお尻を上げようとすることがあります…。
これだと後頭部をつけず、前転が出来ません…。
③後頭部をつける場所は両手の間
後頭部をつける場所は両手の間が望ましいです!
前に回るので、前方にジャンプをして後頭部も前の方につきがちです…。
しかし両手より前に後頭部をつくと回り終わった時、台の端に肩や背中をぶつけたり、おしりからの着地になってしまいます…。
④身体を丸める
回ってる時には、身体を丸めましょう!
具体的には前転をして起き上がりながら、膝を胸につけるイメージです!
こうしないと足が前に伸びてしまいます…。
私は台上前転を子ども達に教える時は…
「ボールになって、跳び箱の上を転がってみよう!」
と言ってます!
子どもが身体を丸めるイメージを持てるようにすることが大切です!
⑤起き上がる時に手を離す
前転をして起き上がる時は前を見ながら、両手を伸ばしましょう!
これも床でやる前転と同じですね!
一つ違う点は後述しますが、台上前転は台を横から持って回ります。
起き上がる時に手を離してから、前に伸ばすようにしましょう!
⑥足の裏で着地する
着地は足の裏でしましょう!
これは①~③が出来るようになれば、「足の裏で着地してね!」と伝えるだけで大丈夫です!
逆に何回やってもおしりからの着地になって足の裏で着地できない時は、後頭部をつく位置が前過ぎるのが原因なので、両手の間に後頭部をついて回る練習をしましょう!
まずは上記の①〜③を練習しましょう!
台上前転が出来るようになるかは上記の①~③が特に重要です!
①~③ が出来れば高さのある台の上でとりあえず前転が出来ているので、まずは①~③が出来るように練習して下さい!
出来るようになるためのコツは?
台上前転が出来るようになるための重要ポイントは以下の2つです!
動作の連動
まずは身体的、動作面でのポイントです!
ジャンプをしてお尻を高く上げる
↓
頭を素早く丸めて、後頭部をつけて回る
まず上記の“高く”と“素早く”という動作のポイントがきちんと出来るようになりましょう!
そして2つの動作の連動をスムーズにすることで、成功率がかなり高くなります!
怖さの克服
これが一番大切なポイントであるメンタル面でのポイントです!
体操教室で初めて台上前転を指導する時、大多数の子は“怖い”と感じます…。
「落ちたらどうしよう…」
「痛いよな…」
とイメージしてしまうんですね…。
こう思うのはごく普通のことですが、問題は恐怖心があるまま無理にやろうとすると…
恐怖心がある
↓
恐怖心から、身体が硬直してうまく動かせない
↓
うまく身体が動かないから、落ちて痛い思いをする、下手をすると怪我の恐れもある
↓
自信がなくなったり、更に恐怖心が増してしまう
という負のループになってしまいます…。
いくら台上前転をするために必要な身体的な能力があっても、恐怖心があるとその能力を十分に発揮できません…。
そこで一番大切なのは大人の補助です!
特に練習を始めたばかりの時は、少しでも恐怖心を和らげるように必ず大人の方が手伝ってあげて下さい!
お尻を高く上げてジャンプをすることだけ頑張るように伝え、最初は親御さんが“回してあげる”くらいでちょうどいいです!
「パパ(ママ)がいてくれるから大丈夫!」という安心感が持てて、初めて頭を素早く丸める等の技術的な練習にも効果が出てきます!
くれぐれも「さあ、やってごらん!」とお子様任せにならないようにして下さい!
最初から助走をつけるのは間違い!
台上前転は開脚跳びと同じように助走をつけて回ることも出来ます!
助走をつけて、勢いよく踏み切ることで高い段でも台上前転が出来ます!
私の体操教室でも3~6段くらいの跳び箱で台上前転をする時は助走をつけています!
しかし最初は助走は必要ありません!
むしろやらないで下さい!
理由として…
- 最初は低い台から練習するので助走の必要はない
- 台の上で前転をすることだけでも怖いのに、助走をつけることで更に恐怖心が増してしまう
まずは30~50cmくらいの台で、助走をつけずに前転をすることに慣れていくことが大切です!
おすすめ練習ステップ
お家で練習したい時に、具体的にどのように練習すればいいのでしょうか?
大きく分けて以下の4ステップがおすすめです!
また練習の前に準備運動として首を回しておきましょう!
かえるジャンプをする
まずはかえるジャンプです!
床に両手をついてジャンプをして、おしり→足の順番で上げて下さい!
かえるジャンプをいっぱいやることで腕、背中の筋力がついていき、台上前転でお尻を上げる時に身体が横にぐらついたり、腕が曲がって前に潰れたりしにくくなります!
お尻を上げた時に身体をまっすぐ支えられれば、うまく後頭部をつけるようになります!
顔を打ってしまうかもしれないので、布団等、柔らかい物を敷いてやって下さい!
お尻を上げた時にどうしても腕が曲がって潰れてしまう場合は、まず鉄棒のつばめの練習をしましょう!
かえるジャンプよりも腕に掛かる負荷が少ないので、無理なく腕の筋力、筋持久力を鍛えられます!
台を掴んでジャンプをする
かえるジャンプでお尻が高く上がるようになったら、今度は台を掴んでかえるジャンプをしてみましょう!
これはジャンプをしてお尻を高く上げる練習になります!
高い位置に手をついているので、床に手をついた時よりお尻を高く上げにくいですが、台上前転が出来るようになるにはとても大切です!
最初は大人の方が横でジャンプに合わせて、「このくらいまでお尻を上げるんだよ!」と伝えながら、お尻を上げるのを補助してあげて下さい!
少しずつお尻を押す力を弱めていって、お子様自身でお尻を高く上げられるように促して下さい!
段々と高くジャンプできるようになったら、お子様だけでやってみましょう!
台の横を持つ
台を掴む時は横から掴みましょう!
お子様の目線だと、親指だけが見えるはずです!
台上前転をする時も、この持ち方です!
なぜ横から持つのか?
それは…
ジャンプをしてお尻を上げて、横にぐらついた時に身体をまっすぐに戻しやすいからです!
上から手をつくと、ぐらついた時にそのまま横に倒れてしまいます…。
ただ上から手をついているだけなので、台を掴んで体勢を戻すことが出来ません…。
布団で台上前転をする
今度は実際に高さがある所で前転をしてみましょう!
前転をする時は…
手をついたらかえるジャンプのようにお尻を上げてから…
↓
おへそを見て頭を素早丸めて、後頭部以外の所は布団に接触しないように回る
特に重要なのは…
“後頭部以外の所は布団に接触しないように回る ”
という所です!
まずは布団がおすすめです!
二つ折りから始めましょう!
三つ折りにすると更に高さを出せます!
15~20cmくらいの高さがあるマットレスや座椅子、ベットでも代用可能です!
台上前転というには少し低い布団やマットレスですが、高い台で前転することを意識してお尻を上げてから前転する、その際に前頭部や頭頂部が布団に触れないように前転をすることが大切です!
もし後頭部をつく前に前頭部や頭頂部が布団についてしまったら、それはお尻を上げる高さが足りなかったり、頭を丸めるのが少し遅いです!
補助付で台上前転をする
布団やマットレス等の少し高い所での前転に慣れてきたら、今度はもう少し高い台で前転をしてみましょう!
30~50cmくらいの高さの背もたれのない椅子や机、硬めの衣装ケースがあればその上に布団等の柔らかい物を敷いて下さい!
長椅子やベッドでも大丈夫です!
椅子は上部がクッション性になっている物であれば、そのまま練習できます!
ベッドは横から手をつくことは出来ないので、上から手をついてやりましょう!
横幅があり、安定性が抜群なので上から手をついても横から落ちてしまうこともありません!
奥行きがある椅子やベッドだと着地の練習はできませんが、ジャンプをして回る練習をするには十分です!
適当な台がない時は、思い切って跳び箱を用意しちゃいましょう!
買うのは高いので、レンタルがおすすめです!
レンタルにすると「レンタル中に出来るようになるぞ!」って気持ちになりますよね!
また着地する所と台の両横にも布団のような柔らかい物を敷いておきましょう!
最初は横に転がってしまうこともあるので、怪我防止の為、とても大切です!
両手をつく所に印をつける
お子様の体から20cmくらい先に、手をつく目印をつけましょう!
1,2,3で回る
1,2でジャンプをしてお尻を高く上げて、3で回って下さい!
回る前に1,2とジャンプをして勢いをつけることで、3でより高くお尻を上げられ、回りやすくなります!
練習する上でのポイントは、お尻を上げてから後頭部をついて回ることです!
順番を間違えないようにしましょう!
またこの練習では必ず大人の方が横で補助をしてあげて下さい!
補助の仕方は…
1,2のジャンプに合わせて片手でお尻を上に押してあげましょう!
もう片方の手でおへそを見られるように、後頭部を軽くおさえて下さい!
↓
3でジャンプをしたら、お尻をお子様の前方向に押しながら、後頭部もおへそ方向に軽く押してあげて下さい!
“くるん”と回してあげるイメージです!
この補助の仕方で恐怖心が和らぐかどうかが決まります!
大人の方が“回してあげる”くらいで大丈夫です!
最初は怖さからジャンプが低かったり、回る時に止まったりするかと思いますが、回してあげて怖さが和らいでくると自然と高くジャンプしたり、回転がスムーズになっていきます!
お子様自身の力でお尻を高く上げられるようになったらお尻の補助を、頭を素早く丸められるようになったら後頭部の補助を減らしていって下さい!
お子様自身で回れるようになることを目標に、あくまで出来てない所だけをサポートしてあげてましょう!
せーので回る
補助があっても1,2,3でスムーズに回れるようになったら、今度はせーのでジャンプ1回で回れるように練習しましょう!
これも最初は補助をしてあげて下さい!
1,2,3で回る練習で恐怖心が和らぎ、台上前転の動作感覚を掴めていればスムーズに回れるはずです!
何回かやって一人で回れそうなら、補助をせずにお子様だけで回ってみましょう!
その際も横に倒れそうになった時に助けてあげられるように、横にいてあげて下さい!
最後は前転中の姿勢や着地の練習
一人で回れるようになったら、最後は起き上がりや着地の練習をしましょう!
- 起き上がり方…台から手を離して、両手を前に伸ばす。
- 前転中の姿勢…膝を胸に近づけ、身体を丸める。
足は揃える。 - 着地…両足の裏で着地する。
意識すべきことは1つだけ!
それは怖さの克服や台の上で回る感覚を掴むには、大人の方の補助にかかっているということです!
「いくら練習しても出来るようにならない…」
そんな時はお子様が練習しているのを横で見守っている、アドバイスをするだけになっていませんか?
台上前転を成功させるには…
- おしりを高く上げる→後頭部をつけるという動作順番を体で覚え「できた!」「思ったより簡単♪」と自信が持てるようになること!
- 台上前転への不安、怖さを軽減して「思ったよりも怖くない」と安心感が得られるようになること!
この2つは大人が助けてあげながら練習することしか得ることができません!
まとめ
いかがでしたか?
難しそうに見える台上前転もポイントやコツは意外に少ないです!
だからこそ、そのポイントやコツを踏まえて練習することが大切です!
高さのある所で前転をすることへの恐怖心を和らげる為に、大人の方が補助をして回してあげる!
↓
恐怖心が和らいでから、今回ご紹介した台上前転に必要な身体の動かし方の練習をする!
これさえ抑えていればお家でも練習は出来ますし、誰でも出来るようになります!
恐怖心や苦手意識を取り除けるかは、親御さんのアプローチ次第です!
お家で練習できる開脚跳びの練習方法をあるので、ぜひ併せてやってみて下さい!
ジャンプをしてお尻を高く上げ、腕で自分の身体を支えることは倒立の練習にもなっています!
お家で出来る簡単練習法をまとめてあるので、興味のある方はぜひやってみて下さい!
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