教諭歴16年目の現役の幼稚園教諭として、これまで3000人以上の子ども達に鉄棒や跳び箱、マット運動などの体操、運動指導をしてきました!
今回は後転の練習方法についてご紹介します!
前に回るでんぐり返しは「わりと簡単に出来そう!」と思う反面、後ろに回る後転になると途端に「難しくて出来ない…」と思われがちです…。
今回ご紹介する5ステップはお家でも練習出来ますし、親御さんも教えやすいものになっています!
正しいステップで順序良く練習していけば、誰でも出来るようになります!
後転のメリット
後転ができるようになると、どんなメリットがあるのでしょうか?
大きく分けて以下の2つです!
・後ろへの回転感覚が身につく!
・後ろに転んだり、倒れた時の受け身としても効果抜群♪
後ろへの回転感覚とは逆上がりの練習の時に効果を発揮します!
逆上がりは後転と同じで後ろに回ります!
後転で後ろに回る感覚や視界に慣れていると、逆上がりの練習の際、後ろに回る怖さもなく、思いっきり出来ます!
また後転は受け身の要素もあります!
前転もそうですが、後転が出来るようになると転びそうになった時に、とっさに後ろに回転して大怪我を防げる確率が上がります!
後転をしたことがないと〝危ない!〟と思った時にとっさに転がることは出来ず、そのまま倒れてしまいます…。
自分の体を守る!という意味でも、重要な技術と言えますね!
準備する物
では、いざ練習しようと思った時に何を準備すればいいのか…。
これはお家にある、以下の物で大丈夫です!
もしないようでしたら、代用できる別の物でも大丈夫です!
・布団やマットレス
転がる時に痛くないものであれば何でも大丈夫です!
ただあまり柔らかすぎると、後述する床を押す効果が半減してしてしまうので注意が必要です!
・クッションや座布団
これは布団やマットレスの下に敷いて、傾斜をつくり回りやすくする時に必要です!
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後転の練習プロセス
では具体的にはどんな風に練習すればいいのか?
おすすめは以下の5ステップです!
1、ゆりかご
まずは後ろに転がる感覚を掴みましょう!
そんな時に効果的なのが、ゆりかごという遊びです!
CHECK
うつ伏せに寝る
↓
両手をバンザイして、両足を頭に近づけるように上げる
↓
そのまま両足→両手を順番に勢いよく振って起き上がる
POINT
・起き上がる時に両手を床に付かない!
・前を見る!
もし起き上がれない時は…
大人の方が軽く背中を押してあげて下さい!
床に手をつかずに起き上がれるようになったら、以下のようなバリエーションをやってみましょう!
・起き上がったら、膝を曲げてそのまま立つ!
・準備のポーズをうつ伏せからではなく、お山座り(体操座り)のように起きた状態から行う!
この方がより勢いがつきますし、後転の準備のポーズと同じなので効果的です!
この時後ろに転がる際、必ずおへそを見ながらやりましょう!
おへそを見て頭を丸めながら後ろに転がらないと、後頭部を床にぶつけてしまいます…。
この遊びで後ろに転がる事への恐怖心をなくすことが大切です!
また自分で回れるようになるには勢いが必要です!
後ろに転がるのが怖いと、最初の勢いがつれられずに後述する2〜5のステップをいくら練習しても自分で回れるようにはなりません!
2、腕組み後転
ゆりかごで後ろに転がる感覚が掴めたら、今度は実際に回ってみましょう!
比較的簡単に回れるのが、この腕組み後転です!
回る際に首を守る為に腕を後頭部付近で組み、後ろに転がる勢いで回ります!
CHECK
お尻を浮かせて座る
↓
頭の後ろで手を組む
↓
おへそを見ながら、組んだ手で後頭部を軽く押して頭を丸める
↓
勢いをつけて後ろに転がりながら、足を後ろに伸ばして回る
POINT
・お尻を浮かせて後ろ転がるのが怖い時はお尻を床につけて、足を伸ばして座ってからやってみましょう!
勢いがつきにくくなる分、回るのが少し難しくなりますが、怖さは少しなくなります!
・足は後ろに伸ばしましょう!
よくある失敗が回る勢いは十分だが足を上に向かって伸ばしてしまい、回転の力が全部上に逃げてしまうことです…。
回転する方向に足を伸ばすことで、くるんと回ることが出来ます!
・回りきれない時は大人の方が軽くお尻を押してあげましょう!
後ろに転がる勢い+足を後ろに伸ばすことで、後ろに回ることが出来ます!
勢いが足りなかったり、足を回転する方向に伸ばしてないと途中で止まってしまいます…。
これらの感覚を掴めるように後ろに転がった時、お尻を回転する方向に軽く押してあげましょう!
また布団やマットの下にクッションを入れて傾斜をつけると回りやすいです!
これならお子様だけでも回りやすいですね!
・少し不恰好でもいいから自分でまわってみよう!
お尻を押してもらって出来たら、今度はお子様だけの力で回ってみましょう!
自分で回ることで…
・自分で回ろうと後ろに転がる勢いが増してくる!
・自分で回れたという自信に繋がる!
3、素早く手をつく練習
自分で後ろに回れるようになったら、今度は手のつき方の練習をしましょう!
ステップ2では手は頭の後ろで組んだまま回りました!
これは後ろに転がる勢いと足を後ろに伸ばす勢いで回っているので、腕の力を使っていません!
ステップ3では後ろに転がったら、床に素早く手のひらをつく練習をしましょう!
CHECK
長座(足を伸ばして座る)をしたら、ブリッジの時みたいに手のひらを上に向けて、耳の横につける
↓
おへそを見ながら、そのまま後ろに転がる
↓
手のひらを床に素早くつく
↓
手をついたら、また長座に戻る
↓
上記を繰り返し行う
POINT
・最初は長座から転がりましょう!
おしりをつかずにしゃがんだ状態から転がると回るのが速過ぎて、手のひらをつくのが難しくなってしまいます…。
最初は長座(足を伸ばして座る)の状態から、ゆっくりでいいので転がり、転がった時に素早く手のひらをつけられるようになりましょう!
・手の準備はブリッジと同じ!
手の形ブリッジをする時と同じです!
ブリッジって何?という方は、こちらもぜひご覧ください!
この時に気をつけて頂きたいのは…
①指は伸ばす!
②手は耳の横につける!
③手のひらは上に向ける!
この3つです!
①指は伸ばす!
指をまっすぐ伸ばすことで、手のひら全部を床につけることが出来ます!
指が曲がっていると曲がった指が邪魔をして、強い力で床を押せません…。
また床を押す際、手のひらと床に指がはさまったままだと怪我の恐れもあります…。
②手は耳の横につける!
手をおく場所は耳のすぐ横にしましょう!
耳から手が離れていると体からも離れた所に手をつくことになり、力を入れて床を押せません…。
③手のひらは上に向ける!
手のひらは上に向けておきましょう!
こうしておくと後ろに転がって、床に頭がついた時には自然と手のひらも床についているはずです!
手のひらが上を向いてないと、後ろに回る時に素早く手のひら全体を床につくことが出来ません…。
素早く手のひらをつけないと、床を押すことが出来ずに回れる可能性が低くなってしまいます…。
このステップ3と上記の①〜③はめちゃくちゃ大切です!!
ここを意識、実践できるかどうかで、後転が出来るようになるかが決まります!
長座(足を伸ばして座る)で上記が出来るようになったら、お尻を床につけないようにしゃがんだ状態から、やってみましょう!
勢いがつく分、後ろに転がるスピードも上がる為、よりスピーディーに手をつく練習になります!
4、床を押して回る
ステップ3が出来たら、あとは後ろに転がったら床を両手で押してみましょう!
CHECK
長座(足を伸ばして座る)か、お尻を浮かしてしゃがんだ状態から両手を耳の横につける
↓
おへそを見るように頭を丸める
↓
後ろに転がる
↓
両手の手のひらが床についたら床を押す
↓
足を後ろに伸ばして回る
POINT
・両手の手のひらが床についたら、すぐに床を押す!
ステップ4の一番のポイントは、ここだけと言っていいくらい大切です!
ステップ3でやった、後ろに転がる時に素早く手のひら全部を床につけて押せているか見てあげましょう!
そして…
「今度は手のひらが床についたら、バンザイして床を押してごらん!」と声を掛けてあげて下さい!
押すタイミングが遅い時は、手のひらが床についた時に「バンザーイ!」等、声で押すタイミングを教えてあげて下さい!
両手で床を押すことで腕の力も使えて、より簡単に回ることができます!
・足は後ろに伸ばそう!
腕組み後転の時にもお伝えしましたが、回る際は足を後ろに伸ばしましょう!
両手で床を押せるようになってから一番多い失敗です…。
床を強く押すことに一生懸命になってしまい、足を後ろに伸ばすのを忘れがちです…。
・床を押す力が足りない時は、大人の方が手伝ってあげましょう!
これも腕組み後転と同じで、お尻を回転方向に〝ちょん〟と押してあげて下さい!
段々と床を押すタイミングや、力を入れて押すことを覚えられたら一人で回れるようにお手伝いをやめて下さい!
回る時に足が揃っていないとか、回った後の着地で膝がついてしまうとか、細かい所は気にしなくていいので、まずはお子様が自分の力で回れたことを褒めてあげて下さい♪
5、膝をつかないで着地
手のひらで床を押して、一人で回れるようになったら、最後は着地の練習です!
着地時に膝をつかないように、足を伸ばして遠くに着地しましょう!
足を伸ばしながらの後転を伸身後転といいます!
上記はこれに近いですね!
なぜ伸身後転なのか?
幼児期では伸身後転の方が後ろに回転しやすく、膝をつかないように着地しやすいからです!
膝をつかずに着地できるようになったら、膝を曲げて回り、手の近くに着地してみて下さい!
まとめ
いかがでしたか?
後転は逆上がりの練習、また自分の体を守る為にとても大切な技術です!
最初は力いっぱい床を押していたり、後ろに転がる勢いが凄かったりしますが、何度も回っていくうちに余計な力が抜けていき、最小限の力で後転が出来るようになっていきます!
まずは今回ご紹介した5ステップを実践して、お子様自身の力で回れるようになって下さいね!
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